性教育とは誰に向けてなのか

年に1~2回、小学生高学年に向けて性教育のワークショップを行っています。

今年も12月に、男の子・女の子の2回に分けて募集をかけました。

そうすると、今年は女の子の集まりが例年よりも悪く…(インフル大流行のタイミングってのもあるんですが…)

性教育あなたの物語鉄拳水野敬也

せっかくの予約の子も、インフルになってしまい延期となった女子向け性教育。

年末の通常レッスンのとき、高学年の子に聞いてみたところ・・・

知らない人には恥ずかしくて質問とかもできないよ!

…と! そうか!そうだよね、、と妙に納得しました。

性教育は、年頃の子たちにとってもハードルが高いもの。決して恥ずかしいことではないのよ、といくら大人が言っても子供たちにとってはセンシティブな内容です。

「木下さんが先生じゃないの?」と言われてハッとしました。

親の思う性教育

「性教育のワークショップをしようと思って」

そういうと、たいていの保護者からは「いいですね!」という反応が返ってきます。学校で教える性教育が、今の時代と照らし合わせると不十分ということは、共通事項として知っているんです。

誤解のないように言っておくと、学校の性教育は少なからず「はどめ規定」と呼ばれるルール範囲内で指導する(←諸説ありますが)ということになっており、「妊娠」については教えるけれど「どのような行為が妊娠に繋がるのか」という途中を省いて授業が行なわれるのです。

また、生理や精通などの起こる箇所(?)、部位や臓器の名称の語彙、その形は習うけれど、それが外部(要するに外からみた体の部位)とどう繋がっているのか、知らないままに授業を終えます。

これについては、中学生の子たちに直接聞いてみたので驚きました・・・。子宮の形や卵管から卵が出る話はわかったけど、精子がどうやって入ってくるのかがわかってなかったんですよね。避妊治療で注射をしているシーンをニュースをみたのとごっちゃになっていて、血管から精子入れるの?みたいな…。(女性ホルモン系の注射でしょうね)

こういった内容は、家庭で親子で話題に出すにはちょっと難しいらしく(我が家は話しますが、少数派かもしれない)、ワークショップなどで他人が教えてくれると助かる、ということらしいです。また、例えば同レベルの性教育には適さない年齢の下のお子さんが常に近くにいて、生理の話もしにくいとか…クリスチャン家庭では話題がタブー視されがち、などいろんなご家庭の状況を聞きます。

また、「結婚して愛しあうと子供ができます」みたいな、結婚→子供ができる、という風にざっくり教えている場合も多く、授かり婚だと順番逆じゃん??という疑問があるみたいです。

お付き合いした相手とだけのことを教えていては、性犯罪にあってしまったときのことを考えるとやはり不十分です。妊娠や性感染症など、犯罪行為でも起こりますから…。

そして、そこに愛があっても性感染症にはかかる可能性があるし、早めに病院に行く必要があるタイミングを逃すかもしれません。愛のフリをして、子供に対して性的な搾取をする悪い大人だっています(グルーミングと言う)。

母親や姉妹と生理の量・期間・痛みなどが違っていたら、家庭内で理解者がいないまま、長期の間苦痛を我慢してしまう子もいます。

小学生でもインスタやTikTokのアカウントをいくつも持っているのが当たり前なこの時代、デジタルトゥーの話やネットリテラシー、リベンジポルノの話もしたほうがいいですよね。

こういった「学校では教えないリアルな性教育」が親御さんから求められています。

子どもが知りたい性のこと

親の思う性教育は、子供を守るために与えるタイプの知識であり、とても大切で重い内容です。

でも、子どもが知りたい内容はちょっとズレているかもな~と感じました。

「私、胸や性器の形がおかしい気がする」

「寝るとき絶対生理の血が漏れてしまう」

「学校で汚物入れ(この名称嫌だよね~)に丸めずに捨てる子がいるらしい!」

「キスしたら性病ってうつるの?だって虫歯もうつるっていうじゃない?」

「クラスの子がインスタDMでHな写真が送られてきたらしい!ヤバイよね!?」

「同性が好きって言ってると、どう接したらいいかな」

自分の体がオカシイんじゃないか、たいへんなことに巻き込まれそう。でもこんなことを考えていることを親バレしたくないから親には何も相談できない、などね。なんでも話せるご家庭ならばいいのですが、家族にこそ話できない、という子は実は多いもんです。

だから、性教育という授業形式ではなく、会話形式で質問から広げていったほうがいいんではないかなと思うようになりました。

学校の保健室の先生や、スクールカウンセラーの先生には「親には言わないでほしい」という前置きしておくと、秘密で相談のってもらえるもんなんですが、学校という環境では話しづらいですよね。

施設運営側だからこそ

思春期の子どもが来る施設ならば、性の悩みや生理トラブルなど、運営スタッフに話せる環境にしておくのがベターかなと考えています。

そのためには、施設運営側に性教育ワークショップが行える知識、フランクに質問できる空気を持つスタッフがいて欲しいですね。

〈学び舎しおらぼ〉は、スタッフが性教育の知識を深めて、通ってくる子たちと定期的な勉強会をしていけたらいいなと思っています。

正しい知識を持って、親身に聞いてくれる大人。しおらぼは、講師に相談しつつそれを目指したいと思います。性は綺麗な話ばかりではありません。でも、タブーな話にして避けてしまっては、自分や大切な人を守れません。

勉強のために、そして子供たちに気軽に手に取ってもらうために、少しずつ本棚にも性関連の本を買い足しています。

性教育あなたの物語鉄拳水野敬也

「あなたの物語」

作:水野敬也
画:鉄拳

鉄拳さんの漫画形式で、とても見やすく・・・特別な命を感じることができます。

性教育の根底に、命のすばらしさを伝えたいときは、おすすめな本です。

性教育おすすめ本のじまなみお母さん学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!

「お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!」

作:のじまなみ
画:おぐらなおみ

さらっと正しい知識を子供に伝えるには?!が網羅されている…。

こちらは、保護者全員に読んでほしいくらい。笑

らぼ長

本来の性教育ワークショップ講師、小栁さんからおすすめの本。
しおらぼの本棚にあるので、持って帰って読みたいときは遠慮なくスタッフに言ってね!

保護者の方たちと座談会とかもできたらいいなと思いつつ…でもまずは、子どもたちと相談だな!!

(困ったな…とりあえず、きのしたさんに相談してみようかな…)と思ってもらえるようになったらいいなぁ。

お肌が弱い子もたくさん見受けられるので、とりいそぎ「生理用品勉強会」みたいなものをやってみようと思います。

いろんなタイプの生理用品のお土産付きです!どれが自分に必要なものなのか試してみないとわからないし、まだ生理が来ていない子もお守り代わりに持ってていいと思うよ!


1/7(火)15時~
■生理用品勉強会

~プチ性教育~

講師:
らぼ長きのした

場所:
しおらぼ 一番奥の部屋

参加費:
無料

対象:
小学校高学年~中1くらいまでの女の子
※普段しおらぼに通ってきてる子優先

予約:
一応したほうがいいけど、飛び入りで友達連れてきても大丈夫です
(今後も希望があればしますよ!)


1/19(日)13時~
■学校では教わらない性の話

~女の子編~

講師:
小栁睦美

場所:
しおらぼ 一番奥の部屋

参加費:
500円

対象:
小学校高学年~中1くらいまでの女の子

予約:
必要
(飛び入りで友達連れてきても大丈夫)